2つの個性的なオフィスチェア
コクヨ「Ing」とライオン事務機「RIDE」
ingとRIDEの共通点とは
長時間座ったままになってしまいがちなデスクワークにおいて、今までよりももっと座り心地が良く、もっと機能的なオフィスチェアを開発するということは、オフィス家具メーカー各社にとってこれまでも、そしてこれからも最も重要なミッションと言えるでしょう。
今回ご紹介するコクヨのingとライオン事務機のRIDEはこのミッションにそれぞれ独特で個性的な機構で答えてくれています。実はこの2機種のオフィスチェアには共通のキーワードがあります。そのキーワードは「揺れ」です。
オフィス家具業界の常識を覆すオフィスチェア
そもそもオフィスチェアは、キャスターが付いていて移動が楽にでき、座面が回転し自由に向きを変えられ、体形に合わせ高さも簡単に上下でき、ロッキングやリクライニング機構、はたまた肘掛けも可動式だったりとイスの中でも最も機能が豊富なジャンルです。
またお尻はホールド感があって安定性がよく、腰はランバーサポートでしっかりと支えてくれるオフィスチェアがよいと考えられていました。
しかし、腰を動かないようにすることが、かえって疲れを生じさせるとコクヨ、ライオン事務機ともに気づいたのでしょう。2社は腰を固定するのではなく、むしろ「揺らす」というこれまでとは真逆の発想で、新しいオフィスチェアをつくりだしたのです。その構造、揺れ方、方法論はまったく違いますが、発想の原点は同じなのではないでしょうか。
それではingとRIDEについてそれぞれの特徴をご紹介しましょう。
コクヨのing
【バランスボールのような・・・】
まるでバランスボールのようなオフィスチェア・・・ingにはじめて座ったときの感想です。
「人は関節や骨格筋を動かすことで、神経細胞が良い働きをするようにできている。」
ingは座っている状態で関節や骨格筋の自然な動きを導き出すことで人の脳と体を活性化させ、オフィスワーカーの働きやすい姿勢を作ることができる画期的なオフィスチェアです。
【360°の「揺れ」をうみ出すグライディング・メカ】
ingは座面下にある2層のメカを組合せた「グライディング・メカ」に特徴があります。このグライディング・メカによって360度自由自在に「揺れる」ことができ、前傾や後継だけではなく、左右や斜めのひねりなどの体の微妙な動きに追随し、人の動きの邪魔をしないで座りながらも自由に動ける機構になっています。
バランスボールのように不安定ではないけれども、表現としてはバランスボールに座っている感じがもっとも近いかもしれません。
一般的なオフィスチェアは座面が安定し、リクライニングに合わせて多少の傾き、移動はありますが、ほとんど気付かない程度です。ingはあえて「揺れる」ことでさまざまな体形に調整なしでフィットできるユニークなオフィスチェアです。
【座りながら運動】
ingは座りながら揺れることで、運動効果が得られます。コクヨによるとingに4時間、座りながら揺れていると約1.5kmウォーキングした場合と同じカロリーの消費があるといいます。運動不足になりがちなオフィスワークで運動効果を得られるのです。そのためingに座り慣れないと運動したときと同じような疲れを感じる人います。
ライオン事務機のRIDE
【ゆらゆら揺れるロッキングチェア・・・】
ingがバランスボールだとすれば、RIDEは前後にゆらゆら揺れるロッキングチェアをイメージしたらよいでしょう。
RIDEに搭載されている「スイングスライド機構」は前後に5°ずつ傾きながら、まるでロッキングチェアのように揺れます。からだの重心位置の変化に応じ特に操作することなく座面が揺れことで負担の少ない正しい姿勢をつくりだせます。
一般的なオフィスチェアは上半身の力を使ってロッキングするのに対しRIDEはロッキングする時に上半身の力を使いません。「スイングライド機構」により年齢や性別、体格の違いによらず心地よい揺れを得られます。
【揺れることでの運動効果】
「RIDE」は揺れる時に「ふくらはぎ」が適度に運動し、むくみが軽減される効果があります。また、揺れ続けることで体の表面温度が上昇します。つまり血流や冷え性の改善効果が期待できるのです。
まとめ
【前傾姿勢】
キーボードの操作や書き作業の時は座面が自然に前傾になり骨盤を立たせることで背骨のS字カーブがつくりやすくなります。ingとRIDEは自然な前傾姿勢をつくることができます。座り心地はこれまでのオフィスチェアと比べ、どちらも断然に良いと思います。お尻が痛くならないので長時間座っていても苦になりません。
【腰痛対策にも】
あくまで個人の感想ですが、腰痛持ちの弊社スタッフが「ing」を1か月くらい使用したところ、驚くことに腰痛がなくなったといいます。
どちらのオフィスチェアがいいのかは個人の好みにもよりますが、この2台は従来のオフィスチェアと比較して長時間の座りながらのワークデスクでスタッフの疲労を「揺れる」ことで大幅に軽減してくれます。
これまでのオフィスチェアとは一味も二味も違うingとRIDE。特に長時間のデスクワークに携わっている方には体への負担が軽減されます。揺れることで血流がよくなり体内から活性化され、脳の働きも高めてくれるでしょう。生産性の向上も期待できるのです。